かぜに負けるな
2019/11/23院長コラム
まず免疫について
私たちのからだは、かぜなどの感染症やがんなどのさまざまな病気から日々守られています。この「疫病から免れる(まぬがれる)しくみ」が免疫です。
専門的に言うと「自己と非自己を区別して、自己以外のものを異物として認識して排除する仕組み」です。この場合の非自己とは「自分のからだの成分でないもの」で体内に入った細菌やウィルスまたは体内で発生したガン細胞などが当てはまります。
われわれの身体にはもともと、病原菌や癌細胞をやっつける力が備わっているのです。
私たちをとりまく環境
大気や水質の汚染、食品汚染、オゾン破壊による紫外線増強などはいまや日常的な問題です。
また、免疫を乱す原因のひとつにストレスがありますが、職場での仕事、人間関係、リストラ、家庭でも夫婦間問題、子供の教育問題、住宅ローン問題、老親介護問題など現在社会はまさにストレスで溢れています。
以上のように私たちを取り巻く様々な要因は、免疫を狂わすように影響しています。花粉症、アレルギー、アトピーなどの免疫病が増加しているのもそのためだとも言われています。
インフルエンザへの対処
インフルエンザに限らず、基本的には、病原菌に近づかないこと、抵抗力(バリア・パワー)を高めておいて、感染しても発症をしない、もしも発症しても症状が軽くすむような免疫作りが必要です。また他人にうつさないことも大切です。
ではインフルエンザに対する予防を通して、免疫力を高める方法を再確認しましょう。
具体的なくふう
❶ 予防の基本はウイルスに近づかないこと
インフルエンザは感染した人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫とともに周りに放出されたウィルスを吸入する事で感染します。
・ ウイルス流行地への不要な旅行は避ける。
・ 人混みへは行かない。
❷ 風邪のウイルスは、粘膜でブロック!
気をつけてもウィルスを吸入してしまった場合、第一関門となるのが喉や鼻などの粘膜です。鼻水や喉の痛みといった風邪の代表的な症状は、粘膜がウイルスと闘っている証拠です。風邪の予防対策は、この粘膜を元気に保つことです。
・ 外から帰ったら必ずうがいと手洗いをする。(うがいをすると口腔内の細菌数が減ることが証明されています。ウィルスや細菌が手につき、その手で顔や口を触って感染することも意外と多いです。)
・ 乾燥を避ける(のどや鼻の粘膜の機能を保つために室内を適度な湿度(約50%)に保つこと。加湿器などを利用してもいいでしょう。)
※タオル三枚法
風邪のウイルスは低温と乾燥で急激に増殖します。喉の粘膜が乾燥すると免疫力も落ちてしまいます。乾燥を防ぐために家庭に加湿器がない場合の裏ワザとして、夜寝る前、部屋に濡れタオルを3枚かけておくと室内の湿度もちょうど50%程度になるらしいです。ぜひお試し下さい。
・ 暴飲暴食、禁煙、栄養の偏りを避ける(粘膜での免疫抗体反応を、活発にかつ正常に機能するように気をつけて下さい。)
❸ 免疫力を整える
・ バランスのいい食生活(後述しますが、食生活は免疫に大きく影響します)
・ 休息を十分にとる(夜更かしや過労を避けて疲れをためないようにしましょう)
・ ストレスを避ける・貯めない(ストレスは免疫力にも悪影響を及ぼす事が証明されています)
・ 体が冷えないようにする(体温が0.5℃下がると免疫力が30%以上も低下するという報告もあります。温かいものを食べて体を温めるのも、免疫力アップの秘訣です)
・ 「漫才などで大笑いする」、「大声で歌う」(免疫細胞の働きが良くなる事が知られています。)
❹ 食事で免疫力をアップしましょう!
免疫力は、毎日どんなものを食べているかによって大きく左右されます。ぜひ免疫力をパワーアップさせる食材を積極的に摂りましょう。
・ たんぱく質(免疫細胞の材料となったり、体力を回復させる):卵、牛乳、肉類、魚類、大豆製品など
・ ビタミンC(体内に侵入したウイルスを攻撃したり、白血球のはたらきを強化する、破壊された組織の修復を促す):イチゴ、パセリ、みかん、レモンなど
・ β-カロテン(ビタミンA)(粘膜や皮膚を強化したり、白血球のはたらきを活性化させる):にんじん、モロヘイヤ、ホウレン草、春菊、カボチャなど
・ ビタミンB群(エネルギー代謝を高めて免疫力を活性化する、免疫抗体の生成を促す、風邪の疲労感を回復する):豚肉、ニンニク、豆腐・納豆・枝豆などの大豆製品、かつお・まぐろなどの青魚、胚芽精米など
・ 亜鉛(粘膜を強くし、免疫力を高める):牡蠣、うなぎ、緑黄色野菜など
・ 鉄(白血球の働きを良くする):ホウレン草、レバー、小松菜、ひじきなど
・ ポリフェノール(白血球のはたらきを高める):緑茶、赤ワイン、コーヒー、ココア、ナスなど
・ β-グルカン(白血球のはたらきを活性化させる):キノコ類(しいたけ、まいたけ、しめじ、えのきだけなど)
・ アリシン(強い抗菌作用をもつ、体を温めたり発汗作用もある):にんにく、ねぎ、ニラなど
❺ 風邪にかかってしまったら
できるだけ症状が悪化せず、短期に治るよう努力しましょう。
・ 今までに書いてきたように、部屋は暖かくして、湿度を50%程度に保つ、体を十分に休め、バランスのいい食事をとる。そして体が冷えないようにすることに注意して下さい。
・ 解熱薬は風邪を悪化させる:高熱が出ると安易に解熱薬を使ってしまいます。一部の解熱薬は脳障害の発症や重症化を起こす事もわかっています。発熱は熱に弱いウィルスとの戦いを有利にするための体の自然な反応です。解熱薬を使う事で病気が長引くという研究結果も出ています。解熱薬の使用は医師に相談して下さい。
・ また、体が冷えて汗がでていない初期に葛根湯や麻黄湯などの漢方を飲むと体温も上がり発汗を促し、治るまでの期間が抗ウィルス薬より短くなる事がわかっています。このように体温を上げて風邪が治りやすくする作用は漢方薬のみが持つ効果です。
・ 咳エチケット
かぜにかかれば他人にうつさないよう気をつけましょう。
○ 咳・くしゃみの際にはティッシュなどで口と鼻を押さえて、誰もいない方を向く。
○ そのティッシュはすぐにふた付きのゴミ箱に捨てる
以上の事は一般的に知られたことかもしれません。しかし、新型インフルエンザや抗生物質が効きにくい感染症の危険が身近な今、再確認して今のうちから日々気をつけて風邪に強いからだを作っておきましょう。
- ご予約・お問い合わせは
- tel.075-634-6123予約優先制
- お問い合わせ
診療時間
- 午前
- :09時00~12時00
- 午後
- :17時00~20時00
- 休診日
- :日・祝日
- ※受付時間
- 09時00〜11時30
17時00〜19時30
〒604-8381
京都市中京区西ノ京職司町69
- JR山陰本線 二条駅 徒歩3分
- 地下鉄東西線 二条駅 徒歩3分